現代の医学・健康科学の分野では、急速に進化する科学技術や多様な社会的背景によって、新しい課題が次々と出てきています。特に、COVID-19のパンデミックを通じて、私たちはグローバルな課題への理解がいかに重要かを再認識しました。このような時代において、異なる学問分野の知識を統合し、文化的な感受性を持って取り組むことがますます求められています。
この記事では、現代の医学・健康科学分野の研究者のキャリアを輝かしいものにするために不可欠な「学際的な知識」と「グローバルな研究に対する意識」の重要性を、Ernest&Kinのプロフェッショナルが解説します。
学際的な知識とグローバルな研究に対する意識を培うためには、以下の3点が特に重要になります。
- グローバルな課題への関心と理解
- 知識を統合するためのアプローチ
- 他文化への配慮と相乗効果の創出
この記事を読むことで、現代の医学・健康科学分野の一研究者としてのキャリアを切り拓くとともに、持続可能な健康社会の実現に向けたヒントを得られるはずです。
課題のグローバル化が進む医学分野で、私たち研究者はどう立ち回るべきなのか?
①グローバルな課題の理解
医学・健康科学の世界では、単独の国や地域だけでは解決できない複雑な問題が山積しています。
特に、感染症、慢性疾患、環境問題などは、国際的な視点でのアプローチが不可欠です。
ここでは、いくつかの重要なポイントを見ていきましょう。
新興感染症の脅威
新型コロナウイルスのパンデミックが、私たちの医療システムに大きな影響を与えたことは記憶に新しいグローバルな課題です。私たちは多くの尊い犠牲を払った一方、この出来事は、グローバルな課題に対する理解がいかに重要かを再確認させてくれるきっかけを私たち研究者に与えてくれました。
各国の研究者たちが迅速に情報を共有し、ワクチンの開発に取り組んだおかげで、短期間で効果的なワクチンが登場しました。このような国際的な協力があったからこそ、パンデミックを乗り越えることができたのです。
環境問題と健康
環境問題もまた、国境を越えた拡大が続き、国境に関係なく私たちの健康に深刻な影響を及ぼしています。気候変動や汚染、食糧不足などはすべて、健康に直結しています。たとえば、温暖化による気候変動は、熱中症や感染症のリスクを高めることが分かっています。こうした環境問題に対処するためには、国際的な取り組みが必要です。各国が協力して環境保護政策を実施することで、最終的には私たちの健康を守ることにつながります。
②知識の統合による複雑な問題へのアプローチ
グローバル化に伴って複雑性を増す課題に対しては、医学分野だけでなく、異なる学問分野の知識を統合することで相乗効果が生まれ、今までになかった革新的な解決策を生み出す可能性がグンと上がります。特に医学・健康科学の分野では、以下のような事例が見られます。
新型コロナウイルスに対する医療政策
グローバルなパンデミックを引き起こした新型コロナウイルスに対しては、各国の研究者たちが迅速に情報を共有し、学際的な研究を行ったからこそ一定の収束を見せたという点で、学際的なアプローチの最たる成功例と言えるでしょう。
ワクチンを開発した生物学や製薬学といったいわゆる理系分野の研究が基盤になったことは間違いありませんが、新型コロナがどのように市民のメンタルヘルスに影響を与えるのか、どうすれば市民にワクチンを納得して摂取してもらうことができるのかを、心理学や行動科学、社会学といった文系分野から考研究することで、ソリューションを社会へと浸透させることができるようになりました。どちらか片方の研究だけでは、今もなお私たちはパンデミックの渦中にあったかもしれません。
持続可能な都市開発
近年注目が集まるスマートシティのような持続可能な都市開発も、学際的な研究なしには実現できません。持続可能な都市の設計や開発においては、都市計画の原則、環境への影響評価、住民の行動や意識を理解するために、都市工学や環境科学、社会心理学、行政学、行動経済学などの様々な学問領域が統合されています。
以上の例からも分かるように、近年のグローバルな課題に対応するためには、一つの学問分野で解決を目指すのではなく、視野を広く持って隣接した、あるいは飛び地になった研究分野とも協調するアプローチを採用すべきなのです。
学際的な研究を実現するために: 世の中のトレンドにアンテナを張ろう
当たり前ですが、常に進化している医学・健康科学の分野の課題に対応するためには、私たち研究者自身も常に進化し続けなければなりません。
進化において常に意識してほしいのは、1点だけです。それは、
「自分の主な研究領域(はもちろん)、一見自身と関係の内容に見える世界のトレンドを敏感にキャッチできているか?」、ということです。
自身の知識やスキルのアップデートを行うためには、以下のような方法を取り入れるとよいでしょう。
- 国際学会への参加
- オンライン学習ツールの活用
- ワークショップへの参加
ニュースのヘッドラインは研究で取り組む課題の認識やアプローチの研究に役立ちますし、近年のITやAI等の技術革新は、基礎研究の枠を超えて、研究の社会実装や商用化に大きく貢献できる可能性があります。特に先駆けてそのようなトレンドを把握・研究への実装ができた暁には、「専門領域×新技術」や「専門領域×新トピック」の第一人者としてのキャリアを切り拓くことができるでしょう。
学際的な研究を実現するために: 文化への配慮と協調
グローバル化が進む現代において、文化の異なる研究者同士が協力して行う学際的な研究は、ますます重要になっています。しかし、異なる文化の中で研究を進めることは、時には難しさを伴います。ここでは、私たちが大切にしている5つのポイントを解説します。
文化的感受性を持つ
異なる文化を理解し、尊重することが第一歩です。相手の価値観や習慣を理解することで、信頼関係を築くことができます。また、異文化に対して柔軟な姿勢を持つことで、スムーズなコミュニケーションが実現します。
明確なコミュニケーション
文化や言語が異なる場合は、共通の言語を確保し、分かりやすい言葉で意図を伝えることが重要です。特に専門用語を避け、簡潔で明瞭な表現を心がけましょう。これにより、誤解を減らし、円滑な情報交換が可能になります。
研究目的の共有
研究の目的や目標を明確にし、全員が同じ方向に進むことが大切です。共通のビジョンを持つことで、協力が円滑になり、成果を得やすくなります。研究の成果が得られた場合は、感謝の意を示し、成果を共有することも忘れずに。
協力的な環境を構築
研究チーム内で自由に意見を交換できるオープンな対話の場を設けることで、多様な視点を取り入れることができます。定期的なミーティングやワークショップを通じて、メンバー間の理解を深めましょう。
文化的バイアスを認識する
自分自身の文化的背景やバイアスを認識し、それが研究に与える影響を理解することが重要です。他者の視点を尊重し、受け入れることで、より多様な意見を取り入れることができます。
学際的な交流を成功させるために
この記事では、学際的な研究を成功させ、グローバルな課題を解決するためのTipsをご紹介しました。Ernest & Kinでは、数多くの出版経験やコーチング経験を持つプロフェッショナルが、研究者の皆様のキャリアを輝かしいものに導くためのコンサルティングサービスやワークショップを提供しています。
特に学際的な研究やグローバルな研究者としてのキャリアを目指す学生や研究者の皆様にはぴったりのコンテンツをご用意しておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。